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自殺防止の活動はまず病院からはじめて!

 =医者の自殺・入院患者の自殺

 平成18年の自殺者数が32,115人であったが、そのなかに医者が90人含まれている。毎年、そのくらいの医者が自殺していく。うつ病という病気のせいだろう。がんは助からない病気もあるだろうが、うつ病は治る病気であると思われるのに、医者でさえもこんなに多く自殺している。病気を治すのが専門であり、医者同士の紹介もあって、高度の医療を受けられるはずだと思うのに、医者でも、うつ病になって自殺する。
 研修医の過酷な勤務や自殺も最近報道された。  病院に入院中の患者にも自殺されている。病院に入院しているのだから、医者、看護師に毎日、顔をあわせて、会話しているのだから、うつ病に気がついてくれるはずである。しかも、重い病気は心的な苦悩をよびおこして、うつ病となる割合は高いのだから、うつ病の発見をしてくれても、いいはずだ。それなのに、病院に入院中の患者に自殺されているのが多い。  それだけに、医者でも、うつ病について充分には理解されていない、ケアされていないということだ。まして、一般の人は、うつ病や自殺について理解されていない。こんな状況では、自殺の減少は容易ではない。

一つの提案

 病院は、うつ病、自殺のリスクの極めて高いところだ。また、自殺するリスクのきわめて高い人が出入りするところだ。うつ病となり、自殺する人は、その前に身体症状、精神症状を訴えて、病院にも来る。すべての病気の重い患者には、自殺のリスクがあり、病院にきている。病院で、患者のうつ病に気がついてもよさそうなものだ。そこで、気がつかないで、一般国民に気がつけというのも、無理な面もある。入院でなくても、うつ病、自殺につながる病気をかかえた患者が来るところであるから、医者自身のうつ病、通院、入院中の患者のうつ病を発見して、自殺を防止しない限り、一般の人、他の組織での自殺は減少しないのではないか。
 まず、病院で真剣に、うつ病の発見、治療技術の向上研鑽につとめてもらいたい。うつ病は、プライマリーケア医でも、精神科医でも扱うが、2時間待って10分診療では、治らないうつ病が多い。2時間待たせている間に、生活習慣の助言、心理療法的なデイケアサービス(グループ認知行動療法、グループ心理教育、個別カウンセリングなど)を提供することを考えてほしい。そういうことを実施する病院をモデルとして、県に一つ作って、数年、試験的に実施してみたらどうか。
 そのプログラムを病院スタッフも受ける。病院関係者のうつ病、自殺も減少させなければならない。さもないと、質の高い医療が提供されない。医療ミスも起きる。
 評価も短期間でわかるかもしれない。病院スタッフ、通院、入院患者のうつ病の罹患率、治癒率、自殺率などを数年、追跡調査して、そういうケアサービスをしない病院と比較してみるのはどうだろう。まず、うつ病、自殺防止の活動はまず病院からはじめよ。そういいたい。